豊橋創造大学 中野セミナー 近現代ヨーロッパ経済史・社会史/ヨーロッパ経済論
A Course on Modern European Economic and Social HistoryEnglish Page




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このHPに関するご意見は、中野研究室 nakano@sozo.ac.jp または440-8511豊橋市牛川町松下20-1までお寄せ下さい(2008/2更新)。
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写真/N.Y.(イメージ)、冬のシャルトル、シティー、ウェールズの田園








セミナー年間計画と担当教員のページ

3年生年間計画 通年でセミナー共通テーマに関するテキストの講読、後期は3年次レポートの作成を中心に進めます。ここ数年の共通テーマは、「市場経済と社会格差」。ネオリベラル構造改革が伴う社会問題と代替的社会経済モデルの可能性を考えます。ただし、各自の作成するレポートは、自由テーマ。関心のある課題を経済史・社会史の領域から選択し、3年次末までにレポート(6,000字以上)を提出してください。また、選択するテーマの主体的あるいは現代的価値に留意すること。レポートは、卒業論文に関係しなくても構いません。

春学期1週 ガイダンス
2-15週 基礎テキスト講読(要約作成や資料批判を含む)。共通テーマとこの領域の基礎知識の習得を目的とします。過去のテキストは、橘木俊詔『社会格差―何が問題なのか』岩波新書(わが国の経済格差分析の基本文献)、中野聡『EU社会政策と市場経済―域内企業における情報・協議制度の形成』創土社(ミクロレベルのEUコーポラティズムに関する叙述) 、G.アムブロジウス『20世紀ヨーロッパ社会経済史』名古屋大学出版会(欧州経済史概論)、A.ギャンブル『自由経済と強い国家』 みすず書房(サッチャリズムのコンパクトな分析)など。関連または各自テーマでのレポートの作成。
秋学期1週 第1回レポート報告およびチュートリアル。テキスト購読(または共同研究)。
2-15週 第2回レポート報告およびチュートリアル。テキスト購読(または共同研究)。プレゼンテーションと3年次レポートの提出。
その他 基礎洋書購読演習。2007年度は、R.メイドナー(戦後「スウェーデン・モデル」の立役者の一人だった経済学者)のインタビュー記事を輪読。
オータムキャンプ 3、4年合同の卒論発表会。三ケ日青年の家、愛知県民の森(バンガロー)、犬山国際ユースホステルなどを利用。

4年年間計画 卒業論文(24,000字以上)の作成を中心に進めます。参加者の就職活動に応じ、小人数グループでの個別チュートリアルまたは通常のセミナー形式で進めます。卒業論文等には審査規定があります。

春学期1週 ガイダンス。
2-15週 第1-2回論文報告およびチュートリアル。関連文献や資料の要約を報告しても構いません。 テキスト購読。
秋学期1-6週 論文草稿提出。第3回論文報告およびチュートリアル
7週- プレゼンテーション(年内)と論文審査(別途規定参照)。
10週- 最終論文(1月第1回授業までに提出)および卒業論文集(B5版ワープロで10枚程度)の作成。論文集掲載論文は、作成要領を参照し、1月末日までに提出すること。
その他 基礎洋書講読演習。
オータムキャンプ 3、4年合同の卒論発表会





担当教員のリサーチ 担当教員(中野 聡)の近年のリサーチ概要および今後の予定です。リサーチ・テーマ、個別論稿タイトル、概要、掲載誌が記載されています

A. EU社会経済モデルに関するリサーチ

高度成長期の社会科学における論調の多くが、先進資本主義経済の収斂や同質性を前提に展開していたのに対し、1970-80年代の低成長への移行とグローバル市場競争の強化、冷戦構造の崩壊後の議論は、しばしば「多様な資本主義varieties of capitalism」の観点から論じられてきた。ここでは、議会制民主主義という大きな枠組みの中で先進諸国が歴史的に発達させてきた、異なる形態の市場管理(またはその類型)が問題にされている。「(ネオ)コーポラティズム(団体参加型市場統治)」などと呼ばれる、労使(または市民団体)組織を公共政策へ統合する仕組みは、大陸西欧諸国を中心に発達したのだが、そうした差異の基幹的部分のひとつをなすと理解できる。なぜなら、(直接・間接的な)団体参加制度は、各国の経済・社会政策とその形成・施行プロセス、株式会社の構造、福祉国家の性質と強度、そして市場経済の方向性そのものに影響を与えてきたからである。1979年以降、ほぼ全ての先進諸国が自由主義liberalism的構造改革による市場と経済の再生を政治的アジェンダとしてきた限りで、われわれは「ネオリベラリズム(市場競争全盛)の時代」を生きている。しかし、もともと先進諸国の戦後体制間には、日常的な市民生活を規則づける多様な領域において、市場規制に大きな歴史的・構造的差異が存在し、規制緩和の進度や到達点も同一ではないことに留意する必要がある。こうした観点からみると、わが国の構造改革をめぐる議論は、新たな均衡点に関する合意形成を捨象したまま、戦後の成長至上主義や放任主義と奇妙な連続性をもつ印象を与える。

EU(欧州連合)は、しばしばトレードオフ(反比例)の関係にあるとされる市場競争力と社会的公正の均衡を標榜している。その社会的側面を担う基幹的仕組みとされるのが、西欧ネオ・コーポラティズムの延長線上に生みだされた「欧州ソーシャル・ダイアログ(政労使社会対話)」や「社会的パートナーシップ」の制度である。このプロジェクトは、形成・確立期にある統合ヨーロッパの社会経済モデルを一連の実証研究によって特定し、批判的に考察することを目的とする。それらは、市場経済における社会的、人間的側面の維持という期待された機能を果たしているのだろうか? それは、各国制度の規制緩和レースを合意によって統率する役割を果たしているのだろうか? それとも、形式としての社会的市場経済が存在する(した?)ことを示す、ジェスチャーのようなものに近似しつつあるのだろうか? それは、ナショナルレベルにおける、いわゆる「ポスト・コーポラティズム」的動向とどう関係するのだろうか? それは、人々の日常生活を質的に豊かにしているのだろうか? 作業は、@EUミクロレベル制度(EUが域内企業などに適用する社会法制)に関する実証研究に始まり(1998年-2003年)、A主要国制度の比較研究を含むEUマクロまたはメゾ(産業セクターや地域)レベル制度の機能評価に取り組んでいる。いずれもその一時期において、科学研究費助成対象(主に現地調査に利用)。

@ EUミクロレベル制度の実証研究(主な論文・著書)

「欧州労使協議会と制度評価のモデル」『豊橋創造大学紀要』Vol.2 (1998.3) 制度制定過程で欧州委員会と社会的パートナーから提示された事項を考察、実証調査のための分析フレームの提示を試みた。
「欧州労使協議会指令94/45/ECの形成―EU政治組織と社会的パートナー」『大原社会問題研究所雑誌』Vol.486(1999. 5) 欧州委員会、理事会と労使組織の関連を軸に、制度の形成過程を詳細に追ったケルシュコフ論文(La revendication syndicale des comites d'entreprise europeens et sa traduction dans la Directive 94/45/CE)の抄訳。訳者解題あり。
「EU社会政策と市場経済―欧州ワークス・カウンシルをめぐる近年の動向」『豊橋創造大学紀要』Vol.3(1999.3) カウンシルに関する近年の動向(トランスポジション、UK"オプト-イン"、ETUIデータ・ベースによる設置状況、EFILWC定期分析による協約の現況)を概観。
"Management Views of the European Works Councils: A Preliminary Survey of Japanese Multinationals." European Journal of Industrial Relations, 1999, 5-3. EU情報開示制度に対する多国籍企業経営者の評価に関する実証研究(前半)。EU・EEA域内日系企業の全数調査を試み
た。1998年10-12月にかけ、35社を対象とするアンケート・ヒアリング調査。社会政策学会報告(1999年5月)。
「EU市場統合とソーシャル・ヨーロッパ―域内企業における情報・協議制度の形成」『豊橋創造大学紀要』Vol.4(2000.3) EU情報・協議制度案とその歴史的背景のアウトライン。
「欧州ワークスカウンシルと多国籍企業―情報・協議制度、コーポレートガバナンスと市場経済」『自己選択と共同性』御茶ノ水書房 2001年 EU情報・協議制度に対する多国籍企業経営者の評価に関する実証研究(総括)。1998年および99年度の調査結果をまとめ、異なるサンプル間の比較を行った。カウンシル制度が、情報・協議と双方向コミュニケーション、従業員参加、コーポレートカルチャー形成の手段として認識されていること、また経営者の文化的オリエンテーションが、カウンシルの機能に影響を与えうることが示されている(pp.219-238)。社会政策学会報告(2000.5)。
「欧州会社法従業員関与指令」『豊橋創造大学紀要』Vol.6(2002.2) 1970年6月の提案以後、30年来の懸案だった欧州会社法ECS European Company Statuteは、2001年10月8日にEU理事会で採択、成立した。これにより、各国法から独立した欧州会社SE Societas Europaeaの設立が可能になる。本稿は、SEにおける経営参加を定めた付属の従業員関与指令の全訳。訳者解題を含む(pp.65-78)。
好評発売中 『EU社会政策と市場経済―域内企業における情報・協議制度の形成』創土社 2002年 EU諸国の労使関係と情報・協議制度に関するリサーチの総括。(A5版・319ページ・\2800)。
「EU情報・協議制度とコーポレート・ガバナンス―社会的経済の先駆?」 欧州委員会駐日代表部編『ヨーロッパ』第231号(2002年秋)掲載予定 『EU社会政策と市場経済-域内企業における情報・協議制度の形成』の紹介および著者インタビュー。
好評発売中 “Managing European Works Councils from outside Europe”,Ian Fitzgerald and John Stirling ed., European Works Councils: Pessimism of the Intellect, Optimism of the Will. London: Routledge. 2001年3月論文、「欧州ワークスカウンシルと多国籍企業-情報・協議制度、コーポレート・ガバナンスと市場経済」に大幅加筆したもの(ハードカバー・£65・$100・国内価格\11,000程度)。


A EUマクロレベル制度とナショナル・コーポラティズムの比較・実証研究

「ヨーロッパ資本主義の2つの世界―コーポラティズムと代替社会モデル」『豊橋創造大学紀要』Vol.8(2004.2) EUにおけるコーポラティズム機構の現況と歴史を概観し、特にミクロレベルにおける機能を詳細に検討した。2003年度豊橋創造大学公開講座の原稿に加筆したもの。
「欧州社会モデルとソーシャル・ダイアログ―ユーロ・コーポラティズムの形成か」『日本EU学会年報』第24号(2004.9) 同タイトルの学会報告(2003.11)に加筆したもの。近年のマクロレベルのEUソーシャル・ダイアログの展開を、アクター、コンサーテーション、EC条約第138条による協議、(2者間)ソーシャル・ダイアログの各項目に関して概観した。
“The European Social Dialogue - Where Does It Stand Now? A Comparative Analysis of National and Supranational Corporatism”, Asia-Pacific Journal of EU Studies, Vol.4, No.1.(Summer 2006) 同タイトルで行った国際学会報告(2005.12)に加筆したもの。EUシステムを、その制度、機能、歴史的変化に関して多様な各国コーポラティズムのスペクトラに位置づけ、比較検討した。UACES国際学会報告(2006.9)のベースに利用。
「EUソーシャル・ダイアログ――コーポラティズムと社会統治」科学研究費研究成果報告書(2006.3) 「EU社会政策の展開――コーポラティズムと雇用、リストラクチャリング(基盤研究C15530197)」のタイトルで行われた、科学研究費関連リサーチ(2003年4月-2006年3月)をまとめたもの。
「欧州社会統合の行方―EU社会経済モデルと欧州ソーシャル・ダイアログ」東海大学外国語教育センター『異文化交流』第8号(2007.5) ヨーロッパ研究会、慶応大学EU研究会、東海大学異文化交流会などにおける報告をまとめたもの。
「欧州ソーシャル・ダイアログ―研究テーマと資料」『豊橋創造大学紀要』Vol.12(2008.2) “欧州ソーシャル・ダイアログEuropean social dialogue (欧州社会対話)”に関するリサーチテーマと分析枠組みを考察しつつ、実証研究に必要な資料ソースをリストアップすることを試みた。
【進行中・・・】「社会的パートナーシップ―ネオリベラル経済秩序下の西欧コーポラティズム」
【進行中・・・】「欧州ソーシャル・ダイアログの歴史―ヴァル・ドゥッシェスからマーストリヒトへ」


B. ヨーロッパ社会史に関するリサーチ

社会史の分野から、社会環境と社会分化に関する論稿を作成予定。現在、西欧庭園(17-18cフランス)と都市公園の歴史に関し資料収集中。

現在準備中


C. その他のリサーチ

その他の関連リサーチ。

“Society for the Study of Social Policy - Rehabilitating the Welfare State” ,Information Bulletin of the Union of National Economic Associations in Japan, No.22, 2002.掲載予定 社会政策学会における研究動向(1997-2001年)を、@戦後日本の人口動態と経済変化、A福祉国家の再構築、B介護保険制度と高齢者労働市場、機会均等などの社会保障領域を中心にまとめたサーベイ論文。多くの研究が既存情報に依拠した現状解釈に傾斜しており、よりよい制度構築のためには実証調査が不可欠である点も指摘されている。
(社会政策学会・研究動向)福祉国家の再構築 『豊橋創造大学紀要』第7号(2003.2) “Rehabilitating the Welfare State”を翻訳したもの。